遺言書は自分で作ることも可能です。しかし、きちんと力を発揮できる遺言書にするためのポイントがあります。今回は正しい作り方をお伝えします。
自筆証書遺言を書いてみよう
自分で書く遺言書が、自筆証書遺言です。自分で描くため、意思を反映させやすく、思い立ったときにいつでもかけるのが良い点です。書き直しもオッケーです(もし死後に2通以上の遺言書があれば、矛盾する内容についてのみ日付の新しいものが有効)。
ただし、書き方や内容が法的な要件を満たしていないと、遺言書全体が無効になることもあります。もし書き損じたら、最初から書き直すのが無難でしょう。
また、財産や財産を相続させる対象者を明確に書かないと、かえって相続人を混乱させてしまうこともあります。
なお、法的な決まりではありませんが、変造を防ぐためにも、完成した遺言書は封筒に入れ、封じ目に印を押し、封印しておくのが良いでしょう。封筒には「遺言書」などと表書きし、裏には日付のほかに、開封の際は家庭裁判所で検認を受ける旨まで書いておくと親切です。
手数料はかかるが公正証書遺言は絶対安心
自分で書くのに不安があるときは、公正証書遺言の作成を検討してみましょう。公正証書遺言は、公証人が相談に乗り、作成してくれる遺言書のことです。法的な手続きを踏んで作成するので、書き方や内容の不備でトラブルになる事はありません。
また、全部で3通作成し、正本・謄本は遺言した本人が、原本は公証役場が保管するので、遺言書の紛失、偽造などの恐れはありません。ただし、その分、手間と費用はかかります。
遺言書の作成までの具体的な手順
公正証書の具体的な作成
公証役場での公正証書の具体的な作成方法の全体的な流れは以下のとおりです。
具体的な作成方法
- 遺言書が、遺言内容公証人に口述で伝える
- 2人以上の証人が立ち会う
- 公証人が遺言書を作成して、遺言書と証人に読み聞かせる
- 内容を承認した後に、遺言者と証人が署名・捺印する
- 最後に公証人が署名・捺印する
これを準備すればさらに作成がスムーズとなる
また、次のものを用意して公証役場に相談するとスムーズです。
準備するよりスムーズに
- 大まかな遺言内容の希望
- 相続人と自分の続柄がわかる資料(戸籍謄本など)
- 財産の一覧(預金通帳のコピー、現金のメモなど。不動産の場合は、固定資産税の納税通知書)
手数料については、相続人数と相続財産に基づいて決まります。見積もりをだしてもらいましょう。目安としては数万〜10万円程度かかるので自筆証書遺言を書いてみて希望を固めてからでも遅くないでしょう。
最後に 付言をうまく活用しよう
付言とは、法的な効力がない「気持ち」の部分を書き記すものです。家族へ配慮し、争いが起きないように遺言書の内容を決めた理由を残された遺族に書いておくとよいでしょう。
例:生前贈与した長男よりも、他の兄弟に遺産を優先させたいとき
「長男には、生前すでに住宅購入資金として1,000万円を贈与しています。他の兄弟たちとの公平のため、遺産は残りの兄弟全員で分けて欲しいと考えます」
以上のように付言として、書き記せば、単に遺産分割のことだけでなく、公平な遺産分配を考えてくれている」ということも伝わるでしょう。